ゆびきり
小森翔。

それが彼の名前だった気がする。
私が十四歳の頃に、クラスが隣だった人の名前だった。
もっと判りやすく言えば幼なじみの名前だ。間違えるはずがない。

陸上競技、詳しく言えば高跳びの選手。


「……今頃何してるのかな」


鳥になりたいと話している夢を見たと思ったら、芋蔓式に色々と思い出してきた。

私は俯いていた顔を上げて、教室から見渡せる広い校庭を眺めた。


「久しぶりに電話でもしてみようかな」


気だるい授業の後、部活を終えてから、私は翔に電話してみようと決めた。
そう考えると部活がだるいな……
やっぱり私はたるんでいるのかも知れなかった。

今はただ、翔の事ばかり考えていた。
< 2 / 4 >

この作品をシェア

pagetop