私と彼と先生
「…俺ね、こう見えても高校の時は結構勉強できたんだ。」






月に照らされた直樹さんが自分のことを話し始めた。



「ずっと成績もトップでさ。
優等生だったわけ!」




「なんか想像できない!」



どちらかと言うと勉強しないで遊んでそうな感じなのに。



「今はあの頃よりだいぶ変わったからなぁ〜。
んでさ、実は先生目指してだんだよね。」



「先生!?」



「そっ!高校出たら大学行って教員免許取るつもりだったんだ。」



「つもりだったって…。
取らなかったの?」



「うん。まぁな。
進学しなかったんだ。」



「勉強できたんでしょ!?なんで進学しなかったの?」



「親父達が死んだ時、優介まだ中1だったんだ。

あいつは俺が守ってやらないといけないって思ったら進学の意味なくなっちゃってさ。

大学行くぐらいなら、ちゃんと一人前になって自立する方がよっぽど意味のあることに思えたんだよ。

まぁ、あいつ俺がいなくても立派にやってるけどな!」
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