ファンファーレに想いを乗せて
どんな小さなことでも彼のことを知りたかった。
移動教室の時は、彼の教室の前を通りながら、彼の姿を少しでも見たくて、一瞬のうちに教室中をくまなく探した。
『好きな人、いる?』
って聞かれたら、迷うことなく彼が頭に浮かんでくるくらい、私の中で、彼は特別な人になっていた。
彼は、私の名前も、存在さえも知らないだろうけれど、それでも私が彼を好きなだけで、ただそれだけでよかった。