ファンファーレに想いを乗せて
カオル……って?
彼の言ったカオルが誰なのか理解出来ているのに、それを肯定すれば、目の前が真っ暗になりそうで、信じたくない。
なのに、現実は、そう優しくはない。
「カオルって?あぁ、青葉高の?」
「あぁ」
桜井くんと彼の会話が耳に入る。
青葉高のカオル
小泉カオル
彼の好きな人
キラキラした笑顔は、彼が彼女を大好きな証拠。
その笑顔は、野球をしている時と同じ。
それほどまでに彼女のことを好きなんだ。
このまま彼と同じ空間で過ごすことが、どうしてもできなくて。
彼の姿を見たら、涙が出てしまいそうで。
どうしようもならなくて、教室を飛び出した。