ファンファーレに想いを乗せて

「あずさは、本っ当、ばかが付くくらい真っ直ぐだよね」


話し終わった私に、はぁ、と大きく息を吐いた絵里は、

「名前、呼ばせておけばいいのに。なんでわざわざ「呼ばないで」なんて言うかな?
自分から加藤との関係、ぶったぎって、ああぁ、まぁ、そこがあずさらしいって言えばあずさらしいんだけどさ」

馬鹿だねぇ 


と言って頬杖をついた。


そんな馬鹿馬鹿言わなくても自分でも分かってるよ。


でも、だからって、誤解されることはしちゃいけないと思うし、加藤のこと、まだ好きだけど、私、振られたわけだし。



「これでよかったんだよ」

自分に言い聞かせるように呟いた。




「いいわけないでしょ」

「絵里?」

呆れたように、怒ったように言う絵里を見ると、


「なんで、そんな簡単に諦めようって思うわけ?加藤への気持ちってそんなもんだったの?
好きな人がいても諦めきれないもんじゃないの?」

「分かってるよ」

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