ファンファーレに想いを乗せて
絵里の言う通りだって、分かってる。


「そうだよ。
絵里が言うように、諦めきれないよ。諦められたらどんなに楽か。
今日だって、いつもと違う加藤にどれだけ、ココ、痛かったか。どれだけ泣きそうになったか。
でも、好きだけじゃ、どうにもならない時だってあるの!片思いできても、両思いにはなれない。
加藤の気持ちは、私には、ないんだから」



胸を手で押さえながら言ってて、苦しくなる。

つい先日まで、もしかしたら加藤も私のことを……なんて思っていた自分が滑稽で泣けてくる。


そんなの、ただの思い過ごし。自惚れ。


実際には、加藤には小泉カオルっていう好きな子がいる。そして、メールをしているくらい仲がいいのなら、彼女だって加藤のことを好きなんだろう。


両思いには勝てない。






加藤と距離が開いたら、
加藤と話さなくなったら、


そうしたら、いつか私は、加藤のことを思い出にできるだろう。


今は辛くても、いつか、クラスメイトの一人として接することができるだろう。

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