ファンファーレに想いを乗せて
あの日から早くも二週間が過ぎた。
学期末試験も終わり、あと一週間ばかりで来る冬休みをまだかまだかと過ごしていた頃
「あずさ、お先〜」
「あ、うん。また明日」
放課後、学級日誌を書いていた私に手を振って帰っていく絵里に、手を振り返し、さっさと終わらせて帰ろうと、また、机の上の日誌に目を向けた。
最近では、放課後は残ることなくさっさと帰っていたので、このガラリと閑散とした教室の雰囲気が久しぶりで、なんとなく懐かしく感じた。
「できたっ」
そう呟き、顔を上げると、もう教室に残っているのは、私だけになっていた。
ひゅうっ!と冷たい風がどこからともなく吹いてきて、ふと、校庭側の窓を見ると、ほんの少しだけ開いていた。
締めようと、窓際へ行くと目は、当たり前のように野球部の練習風景を映す。
見ないつもりでも、すぐに視界に入ってきたのは、彼の姿。
誰よりも一生懸命頑張るその姿は、変わらずにそこにあった。