ファンファーレに想いを乗せて

「加藤が……好き」


好きだけど、届くことのない想い。
今、好きだと言っても振られるだけ。彼からの“ごめん”は聞くのがこわい。

返事が分かっている告白をする勇気が私には、ない。


「……好きなの」

素直な言葉と共に、涙が零れた。

「あぁ」

そんな私に近づいて、頭を撫でてくれる桜井くんが、加藤の姿と被るから、桜井くんの優しさに甘えて、落ち着くまで、ずっと頭を撫でてもらっていた。






この姿を、教室の外の廊下から、彼が見ていたなんて、私は知らない。


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