ファンファーレに想いを乗せて
「あ〜、桜井なら教室。暫く帰ってこないと思うけど?」
「なんかありました?」
恐る恐る聞くマネージャーは、多分、俺が機嫌がよくないって分かっているんだろう。だから、
「別に」
と、素っ気なく言い放ち、もう話しかけないでくれと言わんばかりに、無視をするけれども、遠慮がちに尚も話しかけてくる。
「そう、ですか?あっ、そういえば、久保田先輩ってキャプテンのこと」
「好きなんだろ?」
「え?」
あんたの言いたかったことは、これなんだろ?
「あず……久保田は、桜井が好きで、桜井も久保田が好き。これで満足?俺、今日は、もう帰るわ。じゃ」
「あっ、先輩っ」
マネージャーがまだ、何か言いたげに呼び止めるけれど、振り向きたくもなかった。
あずさは、桜井が好き。そして、桜井も……
俺は、何も伝えずに失恋か……
―――……
―――――………