ファンファーレに想いを乗せて

笑って答えるさっちんに、


「さっちんの学校に、他に、小泉って女の子いない?」


そう聞けば、


「小泉?同じ学年で?」

こくこくと頷けば、隣のカオルちゃんと、いたっけ?なんて話しながら首を捻り、

「いないと思うけど、なんで?」

と逆に聞かれた。


「いや……いい、なんでもない」


いない。

加藤の好きな、“小泉”って子は、実在しない。


安心したのか、ほっとしたのか分からないけれど、それを聞いて、大きく息を吐いた。


加藤のことを、好きなままでいてもいいって言われたような、そんな気持ちに、何故か涙が零れそうで、ぐっと堪えた。

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