ファンファーレに想いを乗せて


「なんなのよ、あのマネージャー」


そう言って、最後のアイスクリームを口に入れながらまだ怒りが納まらないっていう風に言ってくれる絵里に、


「これも食べる?」

と、半分残ったアイスを差し出せば、


「あずさは、もっと食べないと倒れちゃうよ」

なんて言いながら、差し出したアイスを口に入れた。


うん。
でもね、今は胸がいっぱいで入らないの。

ずっと諦めなきゃ、諦めなきゃって思っていて、距離とって、苦しくて。
だけど、そんな簡単に諦められなくて。


だから、今日、小泉馨くんに出会って、悪い夢から覚めたような、そんな気持ちなんだ。


明日から、三学期。

三学期、また、加藤と話して、笑って、頑張れって応援できる。

そう思うだけで、胸がいっぱいになるの。




「あずさ」

「ん?」

最後のアイスを食べた絵里は、

「あのマネージャーには気を付けなよ」

真剣な顔で言った。


「うん……」

そう
全ては、私があの子に騙されたことから始まったことだから。

だから、気を付けなきゃ。

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