ファンファーレに想いを乗せて
「なんで、加藤とあの子なわけ?」
もう明日で2月を迎える冬の放課後、絵里がグラウンドをぼんやり眺めながら呟いた。
放課後、こうやって残ってグラウンドを眺めることは、三学期に入ってから初めてのことで、今日は、絵里が日直で居残っているので、一緒に残っているのだ。
グラウンドでは、北風吹いている中、白い息を吐いてランニングしている野球部員の姿が目に留まった。
その中でも一番最初に目に留まったのは、やはり、彼だった。
どんなに遠くても、彼の姿をすぐに捜し出せる私は、まだ彼を好きな証拠なんだと思う。