ファンファーレに想いを乗せて
明るくて、元気で、クラスのムードメーカーの彼は、誰とでも分け隔てなく話すから、自然と彼の周りには人が集まった。
男女問わず人気があった。
そんな彼だから、当然告白なんかもされることもあって、
『告白されたらしい』
って噂で聞く度、胸がざわざわと騒いで苦しくなって、仕方なかった。
『告白を振ったらしい』
と聞けば、ホッとしている自分がいた。
そうして、
『好きな人がいるらしい』
って聞いたのは、彼の後ろの席になって、彼の背中を見つめることになって、1ヶ月が過ぎようとしている頃。
想いを伝えることなく失恋したのは、ゴールデンウィーク明けてすぐのことだった。