ファンファーレに想いを乗せて
高校3年 春
入部
彼との関係は、あれから何も変化はなく、話しかけることも、話しかけられることもなく、ただ、視線が交われば暫く見つめて、そして、どうしようもなく逸らしてしまう。
そんな関係のまま、高校二年生を終えた。
三学期になったら、野球部の練習も見よう。彼を応援しよう。って思っていたけれど、彼女といる彼の姿を見るのが辛くて、結局は、日直の時に、窓際から聞こえてくるボールが金属バットに当たる音を聞くだけだった。
カキーンッと聞こえてくる度に、彼の姿を想像していた。
誰よりも頑張る彼の姿を思い、胸の奥で『頑張れ』と呟いていた。
彼に届くことのない思いだけれど、彼の姿は見えないけれど、それでも彼を応援したいって気持ちだけは、持ち続けていた。