ファンファーレに想いを乗せて
4月下旬
「あの〜、入部したいんですが」
新入生に紛れて、扉を叩いたのは、吹奏楽部の部室である第一音楽室。
「わ〜っ!あずさっ!」
歓喜の声で出迎えてくれたのは、中学時代、同じ吹奏楽部だった友人の菜々だった。
三年生の部活は、この夏までだけで、たったの3ヶ月という短い間だけだけど、入部させてもらえるだろうかと部長である菜々に聞けば、
「大歓迎だしっ」
って笑顔で答えてくれた。
「でも、突然、なんで?」
と不思議な顔で彼女が聞くのは、当たり前のことだろう。
三年生になれば、受験の為、部活を辞める子が増えていく中、部活を始めたいって言いだすんだから。