ファンファーレに想いを乗せて

「菜々一人で行っておいで。私が行ったら、きっと酷いことになると思うし」



そう。

私の姿なんて見たら、彼女はきっと怒り狂うに違いない。

そうなったら周りにも迷惑をかけてしまう。



「何、それ」

なのに、菜々は、そう言って笑うと、つべこべ言わないでついて来てよっ。と言い、腕をぐっと掴んで離さないから、仕方なしについて行くことにした。



南校舎を挟んで中庭とグラウンドがあり、菜々とグラウンドに向かいながら思う。


どうか、彼女に出会いませんようにと。

彼女が加藤と一緒にいる姿を見なくて済みますようにと。



きっと、そう。

彼女が私の姿を見て怒り狂うことよりも、彼女が彼にくっついて、仲良く一緒にいる姿を見たくないだけなんだ。


二人が一緒にいる姿を見るのは、もう辛いから。
< 163 / 224 >

この作品をシェア

pagetop