ファンファーレに想いを乗せて
「菜々一人で行っておいで。私が行ったら、きっと酷いことになると思うし」
そう。
私の姿なんて見たら、彼女はきっと怒り狂うに違いない。
そうなったら周りにも迷惑をかけてしまう。
「何、それ」
なのに、菜々は、そう言って笑うと、つべこべ言わないでついて来てよっ。と言い、腕をぐっと掴んで離さないから、仕方なしについて行くことにした。
南校舎を挟んで中庭とグラウンドがあり、菜々とグラウンドに向かいながら思う。
どうか、彼女に出会いませんようにと。
彼女が加藤と一緒にいる姿を見なくて済みますようにと。
きっと、そう。
彼女が私の姿を見て怒り狂うことよりも、彼女が彼にくっついて、仲良く一緒にいる姿を見たくないだけなんだ。
二人が一緒にいる姿を見るのは、もう辛いから。