ファンファーレに想いを乗せて

「久保田は、そうやって困った顔よりも、笑顔が似合う」

「え?」

「アイツにしかさせられない笑顔が、俺は好きだ」

「桜井、くん」

「ちゃんと伝えろ」

「……うん」


今は無理でも、いつかちゃんと伝えよう。


「いつか、ちゃんと伝えるよ」

「いつかって、いつ?」

「それは、」


考えてなくて返事に詰まる。いつかちゃんと伝えようって思いは、前からあったのに、今まで出来ていないのは、自分が弱いから。

何かと理由をつけて逃げていたから。



そんな私が分かったのか、彼は呆れたようにふぅっと溜め息一つ吐き出した後、

「夏休み」

と一言呟いた。


「夏の大会が終わる時、一緒に区切りつけるか」

「え?!ちょっと待って!」

「お前は期間付けないと出来ないタイプだろ」

「うぅ……」

そうなんだけど、でも、そんな簡単に決めなくても。少しは、私の意見も聞いてくれてもいいんじゃないの?

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