ファンファーレに想いを乗せて
「行かないの?」
「え?」
「試合、気になってるんでしょ?」
その証拠に、ほらっ、ノート真っ白だし。
そう言って、私のノートを覗き込んで話す絵里は、ボールペンを取り出して、目の前の真っ白なノートに落書きを始めた。
今は、11時半
3校時目の授業が終わり休み時間に入っている。
彼らの試合が始まって、もう30分が経ったころだろう。
「出来たっ!」
「ちょっ!何落書きしてんのよっ!」
「落書きじゃなくて、エール!」
そう笑って言った絵里の手元には、帽子を被った男の子がバットを持って、“頑張るぞ〜!”って言っているイラストが描かれている。
「気になってるんでしょ?」
そして、先ほどと同じ質問を投げかけた。