ファンファーレに想いを乗せて
気になってる。
授業にも集中できないくらい気にしてる。
「今日の相手って、ヤバいんでしょ?」
そう。
今、闘っている相手は、この春、センバツに出場した強豪校。
これまでコールド試合ばかりで勝ってきた相手。
だから、余計に気になる。ソワソワしてしまう。
この空の下、頑張ってる君に届くように祈る。
勝って、って。
「今から抜け出したら、間に合うんじゃない?」
ここから試合の行われている場所まで、1時間くらいあれば着けるかな?
車だと30分もかからないかも。
絵里が言うように、まだ間に合うかもしれない。
今から行けば……
だけど、絵里の声にうんと頷けないのは、なんでだろう。
授業中だから?
それとも、彼らが負ける姿を見たくないから?
それとも、他に何か理由でもある?
授業が始まるチャイムと同時に、ガラガラッと勢いよく教室の扉が開き、
「ほら、席着け〜」
4校時目が始まりを告げた。