ファンファーレに想いを乗せて
これでいい。と自分に言い聞かせる。
きっと彼らは勝って帰ってくる。
信じて待っていれば、それでいい……
それで、いい……
ううん……
やっぱり……
“ガタッ!”
静かな空間に勢いよく引いた椅子の音がやけに響いた。
「どうした?久保田」
突然立ち上がった私を、不思議そうな顔で見る先生に
「いや、……あの…」
なんて言っていいか分からなくなってしまう。
今から、抜け出しますなんて言えない。言ったって、そうか分かった。なんて返事くれるわけない。
なんで考えなして立ち上がったかな。と自分で自分を恨めしく思う。
そんな私に助け船を出してくれたのは、
「先生〜。久保田、さっきから顔色悪くて。保健室に連れて行ってくるわ、ほらっ、行こっ」
そう言って、先生の返事も聞かずに私の腕を掴んで廊下へと連れ出したのは、隣の席で去年も同じクラスだった青木くんだった。