ファンファーレに想いを乗せて
「えっ!ちょっ!何?」
何がどうなってるのかよく分からなくて、腕を引かれるまま、廊下へと出て、階段の踊り場まできたら、青木くんは、掴んでいた手を離した。
「行ってこいよ」
「え?」
「加藤の応援」
悪い。さっきの話聞こえてた。お前ら声デカイし。全部丸聞こえ。
そう言って笑った青木くんは、
「加藤の彼女だろ?久保田は」
いつか私に言った言葉をまた言って笑った。
「違うしっ」
あの時と同じ返事をするけれど、あの時みたいに悔しい気持ちはなくて、
「好きなだけだし」
正直な気持ちをぶつけていた。