ファンファーレに想いを乗せて
『三番、ショート。加藤くん』
鶯嬢の声と共に、バットを持って出てきたのは、
「加藤……」
大好きな彼
真剣な顔でピッチャーに立ち向かう彼の姿がそこにはあった。
『行け〜!』
『頼むぞ〜!』
応援席から大きな歓声が沸き上がる。
ねぇ、聞こえてる?
君の背中をみんなが押してるの。
みんな、応援してるよ。
そして、私も……
「加藤ー! 頑張れー!」
君に届け!
バッターボックスに入る前、一瞬、ほんの一瞬、こっちを見たような気がした。
きっとそれは、気のせい。