ファンファーレに想いを乗せて
「やっ、違うって。変な意味じゃなくて、真面目でいい奴っていうか、そういう奴、俺の周りにいなかったから、だから、いい子だなっていう意味だからな」
落ち込んでしまったのが分かったのか、一生懸命フォローしてくる彼に、申し訳なくて、
「ごめん」
って謝ってた。
「いや、だからさ、久保田が謝ることじゃなくてさ、俺、お前を褒めてるんだけど」
「え?褒めてるの?」
褒められてるなんて思ってなくて、彼の言った意味が分からなくて、彼を見つめたら、
うん。と頷いて、
「いい子だって言ってんの。そのご褒美」
って、まるで小さい子を宥めるようにふわっと私の頭に手を乗せた。
大好きな人に触れられて、びっくりして、嬉しくて、でも恥ずかしくて、耳まで真っ赤になってるのが分かった。
彼にしたら、そういうの誰にでもしている行為なのかもしれないけれど、私にとっては特別なことだった。