ファンファーレに想いを乗せて

「機嫌、治った?」

って顔を覗き込むようにして聞いてくる彼に、こんな真っ赤になってる顔なんて見られたくなくて、


「べっ、別に怒ってなんてないし」

って俯きながら言った。今、顔を上げたら、顔が赤いのがバレてしまうから。こんな顔見られたら、私が彼を好きだって気付かれてしまいそうだから。


なのに、そんな態度が悪かったのか、

「本当に?」

って聞いてくる彼の声が寂しそうで、慌てて顔を上げた。

もしかしたら、俯いていたことで怒っているって誤解させたのかもしれない。


「これ、本当に貰ってもいいの?」


顔が赤いのなんて、もう、気にしない。彼の寂しそうな声なんて聞きたくないから。だから、明るく声をかけた。


「どうぞ」


そう言って嬉しそうに笑う彼の笑顔につられて、自然と笑顔になっていた。


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