ファンファーレに想いを乗せて
これ、買う時、彼は何を考えてたんだろう。
何も考えてなかったかな?それとも少しは考えてくれてたのかな?
炭酸飲めないからって言ってたってことは、少しは、私のこと考えながら選んでくれたってことだよね。
彼の中に私が少しの時間でもいたんだって思ったら、真っ赤な顔が、更に赤くなった。
「顔、真っ赤」
そんな私を見て、一緒にお弁当を食べていた絵里がニヤニヤしながら、肘で私を小突いた。
「痛いって」
「照れてる、照れてる」
「もうっ、そんなんじゃないし」
絵里には、ついこの間、好きな人がいると話したばかりで、それが誰かまでは、まだ言ってなかった。
「加藤かぁ〜」
ふぅ〜ん、なるほどね。
と言わんばりの絵里の言葉に
「ちっ、違うしねっ!」
とムキになって答えてた。
本当はそうなのに。
彼が好きなのに。大好きなのに。
素直に親友に言えないのは、この恋は、諦めるべき恋だから。
彼には好きな人がいるから。
私は、何もしないまま失恋してるから。
それなのに、諦めが悪くまだ好きでいるだけだから。