ファンファーレに想いを乗せて
「分かりやす〜」

「だから〜」

「あっ!加藤、こっち見てるよ」

「え?うそ!?」

“加藤”って言葉に反応してしまい、絵里が見ている方向に目を向けた。


「うっそ〜」

楽しそうに笑う絵里に騙されたと知り、

「もうっ!」


こんな反応をしている時点で、彼のことが好きだって絵里にばれているのに、自分の口から、はっきりと言えない私は、情けないと自分でも思ってしまう。


そんな私に

「頑張れ!」

って言ってくれる絵里は、きっと私の気持ちなんか全部お見通しなんだろう。

だから、

「うん!」

と素直に頷いた。
これが今の私の精一杯の素直さ。


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