ファンファーレに想いを乗せて

夏の大会、初戦


日曜日、地元の市民球場で行われるってことで、自転車走らせて観戦に行った。


相手は、毎年ベスト4まで進む強豪校。



試合は、0対4で完敗。



内野スタンドの応援席からは、ああぁ……という溜め息と共に、『強豪校相手に4点で抑えたのはいいほうだ』なんて声も聞こえてきた。




ベンチで座って出番を待っていた彼は、結局、一度も出ることもなく、最後に応援席の前で一礼をした彼の表情は、無表情で、何を考えているのか分からなかった。



もし、彼がバッターボックスに立っていたら、この球場にカキンッと金属音が響いていたかな。

スタンドもベンチも盛り上がって、もしかしたら、1点でも取れたかもな。



来年、この場所で満面の笑顔で『ありがとうございました』と一礼をする彼を想像してみた。


来年こそは……


彼も、そう思っているんだろうか。


ねぇ、今、あなたは、何を思い、何を考えているのですか?


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