ファンファーレに想いを乗せて


どれくらい時間が経ったんだろう。


気付けば、いつの間にか朝練も終わっていて、片付けをしている彼と目が合った。



「おはよ、あずさ」

「あっ、おはよ」


彼は、いつも教室で見せてくれる笑顔を向けて挨拶をし、こちらに近づいてきた。


座れば?と言われて、彼が腰を下ろしたベンチに腰かけた。



「今日は、早いな」

「ん?」

「いつも、予鈴ギリギリで走って来るのにな」

「え!?知ってるの?」

いつも、遅刻寸前で走り込んで校門をくぐっていることなんて、彼が見てるなんて思ってなくて、びっくりして彼を見ると、


「ん?そんなに慌てて走ったら、スカート捲れそうって思ってみてる」

そう、さらりと言うから、

「なっ……」

言葉が出てこない。

うそ……
そんな恥ずかしい姿見られてたなんて。


「くくくっ、冗談」

「もうっ」


可笑しいって言って笑う彼に、からかわれて恥ずかしいのにつられて笑ってしまう。

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