ファンファーレに想いを乗せて
「今年はさ、あっという間だったけど、来年は、絶対に行くよ、甲子園」


毎年、ベスト8にも残ったことのない、この高校で、甲子園なんて夢のまた夢なのに、彼は、諦めてなんてないんだろう。

彼の言葉には、強さがあって、そんな彼を見たら、もしかしたら……って思ってしまう。



彼は、口だけじゃないから。それだけの努力をしているから。


その証拠に、彼の手の平には、素振りの練習で出来るマメが潰れていた。


「痛くない?」って聞いたら、「もう慣れっこ」なんて無邪気に笑いながら答える彼は、本当に誰よりも練習しているんだろう。

好きだからこそ、こんなになるまで練習できるんだろう。


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