ファンファーレに想いを乗せて
「また見てるの?加藤を」
「ん?別に。ただ、頑張ってるなって思ってただけだし」
絵里に言われ、正直に見ていたって言うのが恥ずかしくて、こんな返事をしてしまう。
こんな返事、好きだって言ってるようなものなのに。
「あずさは、何でそうやって隠すかなぁ」
「別に、隠してなんてないし」
「ふぅ〜ん」
「何よ」
「別に。あっ!ほらっ!加藤がこっち見てるよっ」
絵里の言葉に反応してグラウンドを見ると、校舎を見上げた彼と目が合ったように感じた。
「ほらっ!何か言いなよ。頑張って、とかさ」
そんなこと言われたって、声なんてかけられない。
恥ずかしさと照れ臭さと、そして、声かけたら、彼がどんな反応するのか、見るのがが怖くて、できない。