ファンファーレに想いを乗せて
なかなか話そうとしない彼女に、彼は
「何か用事あったんじゃないの?」
覗き込むようにそう聞くから、彼女は顔を真っ赤に染めた。
やっぱり、彼女は彼のことが好きなんだ。
私を上から下まで見定めるような視線も、彼の居そうな場所を言った時の彼女の態度も、今となったら理解できる。
この子は、私が嫌なんだ。
それは、私が彼女に抱いた感情と同じもの。
好きな人の傍にいる子に抱く感情なんだろう。
「あのっ、私、マネージャーになりたいんです。加藤先輩のお世話をさせてください」
真っ赤な顔をした彼女の声が届いた。