ファンファーレに想いを乗せて
先輩たちのお世話じゃなくて、先輩のお世話
そんな細かいところなんて気にしなくてもいいのに気にしてしまう。
彼女は、彼だけを見てる。
彼の傍に行くのに必死で、彼の隣に行きたいって伝わってくる。
「お願いします!」
ぺこりと頭を下げた彼女の言葉が、彼女の態度が、ぎゅっと胸をしめつけさせた。
「あ〜、ごめん。そういうことだったら、キャプテンに言って」
彼は、そんな彼女の気持ちなんて全く伝わっていないようにさらりとそう言うと、教室の中をキョロキョロと見回し、
「あっ、桜井!ちょっと」
野球部キャプテンである桜井くんを呼んだ。