ファンファーレに想いを乗せて

「まっ、あずさに必要なのは、自信じゃなくて、踏み出す勇気だろうね」



絵里は、全て分かってるように笑顔でそう言った。


踏み出す勇気


それが出るのは、いつなんだろう。
いつになったら、踏み出せるんだろう。



後悔しないためにも、いつかきちんと踏み出したい。

「いつか、頑張るよ」

ぽつりと呟いたのは、自分自身に言い聞かせるため。


そんな私の小さな決意を聞き逃さず、

「うん、頑張れ」


そう言ってくれた絵里に胸の奥が熱くなった。



うん、頑張ろう

いつか、必ず、気持ちを伝えよう。



そう決心したのに  








一週間後

あの子が、ジャージ姿で野球部のマネージャーとして、グラウンドの隅に立っていた。

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