ファンファーレに想いを乗せて
「あ、うん」

「辞典に名前が書いてあったから」

と、はにかんだ笑顔をみせた彼女は、


「あの、また話しにきてもいいですか?」

と、聞いてきた。


「え?」

それって、どういうこと?


「私、仲のいい女の先輩っていなくて、ほら、部活だって男子ばかりだし」


「あぁ、うん」

そうだよね、野球部ってマネージャー以外に女子っていないもんね。


でも、だからと言ってなんで私なの?



曖昧な返事をした私に、何をどういう風に捉えたのか、彼女は、自分が言ったことを受け入れてもらえたと喜んで、


「よかった!これからもよろしくお願いします!じゃ、また」

「えっ?あっ、ちょっと」

私の言葉なんて聞こえてない様子で、彼女は自分の教室に帰って行った。


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