ファンファーレに想いを乗せて
すれ違い
「……でね。あのっ、久保田先輩っ!」
「え?何?」
「もう、ちゃんと私の話聞いてくださいよ〜」
「ん?聞いてるって」
「ほんとですか?」
「ほんと、ほんと。何だっけ、スコアの書き方を教えてもらったんでしょ?」
「違いますよ〜。スコアの書き方教えてほしいけど、まだなんです」
「そっか、そっか」
どういうわけか、あの日から、昼休みになると私を訪ねてやって来るようになった彼女、伊藤玲花。
で、いつもこうやって、他愛もない話をいっぱいして予鈴と共に帰って行く彼女を、絵里は、気を付けなよと言うけれども、絵里が言うように悪い子に見えないのは、私だけなんだろうか。