ファンファーレに想いを乗せて
「私、久保田先輩みたいに加藤先輩と仲良くなりたいんです。どうしたら、先輩みたいに下の名前で呼んでもらえるんですか?」


「えっと、どうしたら、って言われても、」

困る


そんなこと呼んでる本人じゃないから分かるわけないし。


「『玲花って呼んでください』って頼んだら呼んでくれるのかなぁ。どう思います?先輩」

「いや、う〜ん……どう、だろうねぇ?」


返事に困る。

分からないから。
彼の気持ちは、彼にしか分からないから、だから、曖昧な返事しか出来ない。


「あっ、午後イチ、移動教室だったんだ。先輩。また、相談にのってくださいね。じゃ」



彼女はそう言うと、屋上を後にして、錆付いた扉を開けて校舎の中に入っていった。

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