ファンファーレに想いを乗せて

「あずさ?」

「ごめん。でも、もし本当だったらどうしたらいいか分かんないし」

「本当だったとしても、あずさはあずさでいいでしょ。何も変える必要なんてないでしょ?」

「でもっ!」

「“でも”とか、“もし”とかさ、考えたら動けないよ。真実を知りたいか知りたくないかだけじゃないの?違う?」


真実は、知りたい。
知りたいけど、知ったら、私はどうなるんだろう。


今までと同じように彼を好きでいられるんだろうか。好きなままでもいいんだろうか。

よく分からない。


もし、彼の好きな人が青葉高の小泉さんって人で、その人が本当に居たら、私はきっと彼のことを諦めなくちゃいけない……



そんな私の気持ちが分かったのか、絵里は

「諦めるとか考えるのは、本当かどうか確かめてからでも遅くはないでしょ」

そう言ってきた。

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