ファンファーレに想いを乗せて
「何?教えてほしいことって」
「あ、うん……」
聞きたくて電話をしたのに言葉が続かない。
もし、聞いてしまったら私と彼の関係が変わってしまう気がして聞くことを躊躇してしまう。
「ああっ!代わって!聞いてあげる!」
もう、焦れったい!
と言わんばかりに、私の手から携帯を奪った絵里は、
「あのさっ、青葉高の二年に北岡中出身の小泉って子いる?」
そう聞いた絵里の耳元に、私も耳を近付けた。
ドキドキと早鳴る鼓動が煩いくらいに響いている。
さっちんの答えを、聞きたくないって気持ちと聞きたい気持ちが交差してる。
「ん?小泉?ああっ!カオルちゃんのこと?」
小泉カオル
カオルって言うんだ
彼が好きな子は、小泉カオルって子
確かに彼女は実在しているんだと知った瞬間だった。