ファンファーレに想いを乗せて
「何?どうしたの?カオルちゃんに用でもあった?本人に代わろうか?……あれ?さっきまで近くにいたんだけどな、ちょっと待ってね」
小泉カオルを探しているであろうさっちんに、
「ああっ!いいっ!用も何もないからっ!ありがと。じゃあっ」
絵理から強引に携帯を奪い、一気に喋ると通話ボタンを切った。
彼女の声は聞きたくない。
精一杯なのに。
今でも精一杯強がって声出して、踏張って立っているのに、今、ここで彼女と電話口と言えども対面してしまったら、今の自分を保ってる自信がない。
「ありがと。帰るね」
無理やり笑顔を作って絵理に携帯を返し、教室を出ようとした時、
「あずさっ」
絵理の声に振り向いた。