ファンファーレに想いを乗せて
翌朝
寝たのか寝てないのかよく分からないくらい、ぼぅとした頭を無理やり起こすように、冷たい水で顔を洗い気合いを入れるように、パシッと両頬を軽く叩いた。
「行ってきます」
重い足を学校へ向かって踏み出した。
彼に会ったら、いつもと同じように
そう思いながらも、何故か胸はドキドキと煩くて、出来れば、今日は、会いたくないという気持ちが大きい。
いつもと同じように接することが出来るか自信がない。
「はぁ」
昨日から癖のように出る溜め息を吐いて、校門をくぐる。
「久保田先輩〜」
下駄箱で上靴に履き替えている時、廊下から駆け寄って来たのは、目に涙を溜めて今にも泣き出しそうな、伊藤玲花だった。