きみ、ふわり。


「今、何やってんの?」

 まず近況を尋ねた栗重はどこか苦しげで。
 やっぱり『苦しげみなみ』だ、とまたくだらない事を思う。

 要件が言い辛い事であるのは明らかだ。
 それに嫌でも気付いてしまった俺は、くだらない事でも考えて気を紛らすしかなかった。


「バイト三昧。お前は?」

「うん、似たようなもんかな」

 栗重は無理矢理に微笑んで答えた。



 しばらくの間沈黙が続き、俺たちは見詰め合っていた。
 そうしているうちに、何だか俺まで苦しくなって来た。

「で? 何、話って?
 まさかこんな話する為に俺、呼び出された?」

 耐え切れなくなった俺は、冗談混じりに本題を促した。

「うん」

 泣きそうな顔で頷き、「これ」と。
 栗重は手提げ鞄の中から一冊のノートを取り出して、俺の目の前の机の上に置いた。


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