きみ、ふわり。


 淡いグリーンを基調とした、よく見るキャラクターのイラストが描かれているノート。
 何て名だったかは思い出せない。

 イヌかリスかクマ?
 生物学上の分類も不明だけど、つぶらな瞳が愛くるしい。


 手に取ってパラパラと捲ってみた。

 何の変哲もないただのノートだけれど、沢山の日付が目に付いた。
 それぞれ日付の下には、数行の文章、これ日記じゃないの?

 驚いて視線をノートから栗重に移せば、栗重はじっと俺を見詰めていて。

「それ、紗恵ちゃんの」

 切なげにポツリと呟いた。


「お前……こんなもん持って来ちゃって駄目だろ?
 何やってんだよ?」

「紗恵ちゃんのお母さんに貰ったんだよ。
 先週、お葬式があって、そこで」

「『葬式』? 誰の?」



「紗恵ちゃんの」




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