きみ、ふわり。
「悠斗がお前のこと、『メガネ取ったら可愛い』っつってた。
お前、あいつの視界の端っこには入ってるみたい」
「嘘吐くなっ!」
栗重はぷぅっと、わざとらしく膨れて見せた。
「嘘じゃねぇって。
でもまぁ、彼女一筋には変わりはねぇけど。
お前なんかに希望は微塵もないけどね」
「わかってるよ、そんなこと。
一々うるさい。
てか、瀬那くんに言われたくない、なんかムカつく」
などと言いながらも栗重は愉しげに笑う。
俺も笑った。
声はほとんど出なかったけど、頬が痛くなるぐらい笑った。
紗恵……
哀しみを笑い飛ばす強さをありがとう。