きみ、ふわり。
始業式後のホームルームも終わり、皆が帰り支度を始める中、俺は隣の悠斗の机と自分の机の上に跨って、仰向けで寝そべっていた。
もちろん膝下は入りきらず、ダラリと垂れ下がっている。
教室の天井の、灰色に近いくすんだ白をぼんやり眺めながら、保健室でのことに想いを馳せれば、自然と顔の筋肉が緩む。
「何ニヤついてんだよ?
気持ち悪いですよ、瀬那くん。
吐き気をもよおすほどにっ!」
俺の頭は悠斗の机側。
悠斗が俺の顔を覗き込み、ヤツの顔が俺の視界を埋め尽くした。
「ほっとけよ」
目の前の顔を睨み付けて言えば、
「ここ、俺の席。
ほっといて欲しけりゃ、他のヤツの席で寝てくれる?」
と、悠斗は俺を、細めた目で冷ややかに見下ろした。