きみ、ふわり。


 ついに悠斗は立ち上がり、目の前に回り込んで、両手で俺の両腕をガシと掴んで立ち止まらせる。

「瀬那くん、まぁちょっとここに座りなさい。
 彼女がいない君は、どうせ暇なのだから」

 余計な一言にイラッとするも、促されるまま自分の席に戻り、机に尻を引っ掛けた。
 悠斗も俺と向き合うように、自分の机の上に腰掛ける。



 誰かに話してしまいたい気持ちも正直有った。

 悠斗は、頭は緩いが口は堅い。
 まぁ親友だから当然か。



「どういうことか、ちゃんとわかるように説明しろ」

 何故ここで上から目線なのか。
 またしても気分を害され、目を細めてジットリとした視線を悠斗に向けた。


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