きみ、ふわり。
「俺、『穴があったら入れたい』派だけどさぁ」
何から話せば良いかわからず、取り敢えず思いついたことを口にする。
それが間違いだった。
「何それ?
『穴があったら入りたい』の間違いじゃねぇの?
そこに山があるから、みたいに言ってんじゃねぇよ」
「やっぱいい。
俺帰るわ」
こいつに話そうなどと、とんでもなく血迷ったことを一瞬でも考えた自分を激しく恨んだ。
再び立ち上がれば、
「ごめん、悪かった。
R指定くん、行かないで」
悠斗はそう言って、またも俺の両腕を掴んで引き戻す。
というか、一々ムカつく。
何だよ『R指定くん』って。