きみ、ふわり。


 けど、不思議なのは、言った張本人の彼女が一番驚いていたこと。

 ハッと我に返ったように、両手で口を覆って目を見張る。
 その顔からは、みるみる血の気が引いていった。


 さっきのが愛の告白だとしたら、この場合、顔は赤らむのが正解だ。

 けど彼女の顔は蒼褪めているように見える。


 そしてその肌は……
 透き通るように白かった。



「何を?」

 聞き返せば、「え?」と首を小さく傾げる。

「だから、
 俺は何を抱けばいいのでしょうか?」


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