きみ、ふわり。
「せなっちが女の子連れて来るなんて、珍しい」
不思議そうに、それでいて感心するように呟いた。
余計な情報暴露はこの人の悪い癖だ。
そんな事言われたら気まずくなるだろうが。
何故わからないんだろう。
「という訳だから、琉佳は自分で迎えに行けな」
冷ややかに吐き捨て、紗恵の手を引き早々に階段を上がる。
「うん、わかったぁ。
啓太(ケイタ)んちだから、2時間は戻らないからね!」
女はやけに上機嫌な声で俺たちの背中に向かって叫んだ。
気でも利かせたつもりだろうか。
でもまぁ未だかつてないグッジョブだ、賞賛に値する。
「お、お邪魔します」
今更めいた紗恵の挨拶に「ごゆっくり~」と愉快そうに笑顔で答えて女は家を出て行った。