きみ、ふわり。


「あの人は俺の父親の奥さんで、俺の腹違いの弟、琉佳の母親。
 わかる?」

「つまり……継母ってことですか?」

 何故ここで急に冴えるんだ。
 回りくどい説明をした俺が間抜けっぽいじゃないか、どういうつもりだ、ふざけんな。


「そうです、継母ってことです。
 最初からそう言えば分かり易かったですね、どうもすいません」

 紗恵から視線を逸らして少しふて腐れて返せば、「先輩、怒ってますか?」と俺の顔を覗き込んで強引に視界に入ってくる。

 間近で見詰められ、くすぐったいような照れ臭さに耐え切れず、顔を横向けてその視線から更に逃げた。


「怒ってねぇよ」

 言ってはみるも、その声は不機嫌そのものだと俺の耳は認識する。
 気持ちを裏切る外部情報、ほんといらない、俺の五感死ね。


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