意地悪な上司にイケナイ恋心。
二人で初めての通勤。

車両には雪崩のように人が押し寄せていく。

離れそうになった私の腕を掴み、耶刃が自分の引寄せる。


「!!?」


私はしっかり耶刃の胸に抱き締められていた。



シャツ越しでも分かる耶刃の厚い胸板。



「……奈央…朝から…付けるなよ…」


「えっ!?」


私は胸板にくっつけた顔を上げて、少しだけ…身体を離す。


私の口紅が耶刃のシャツにしっかりと付いていた。



「…ワザとじゃなくて・・・」



「・・・ワザとじゃあねぇのは分かってる…」






< 166 / 281 >

この作品をシェア

pagetop